♀ my prince ♂
「未亜ちゃん」
「え…?」
玲央くんに呼ばれて彼に振り向く。
「…左手出して?」
「左手…?こう…?」
言われたまま手を差し出す。
すると―…、
「っ…!」
薬指にシルバーの指輪がはめられた。
「実はこれ…ペアリングなんだ。ほら…」
玲央くんはそう言って私と同じように左手を差し出す。
その言葉通り…彼の薬指にも同じような指輪があった。
「あ……ほんとだ…」
「未亜ちゃんと離れる前に…どうしても未亜に渡したくて…」
「っっ…」
“未亜”って呼ばれるだけで…私の心臓は大きく反応する。
「未亜ちゃんが…他のやつに狙われないようにするための策を考えてたら…これしか思いつかなくて…」
「//…」
れ…玲央くん…っ!!なに言ってるの…っ!?
ここには宮崎さんだっているのに…っっ
って思ったけど…ほんとは照れ隠し。
心の中では…嬉しくてたまらない。
「だから誰かに言い寄られたら…」
「っ…!!」
玲央くんはそこまで言うと左手同士の指を絡めるように握った。
「“これ”見せて言ってよ…?“俺がいる”こと。」
「///……ぅ…うん…っ」
「…絶対だよ?」
「っ……分かってる…」
グイっと近づいた真剣な顔にまた私の胸は高鳴る。
「じゃあ約束…」
ちゅ…っ
「っ…!」
玲央くんは絡めた手を自分の方に引き寄せ私の手の甲に唇を落とす。
『いつか絶対…婚約指輪に変えてみせる…』
「ぇ…」
そして…玲央くんがそう呟いたような気がした。
え、なに…?今のって…プロポーズ…?
「…玲央様。到着いたしました。」
その意味を問う前に…車が停車した―。