♀ my prince ♂
―それから。
楽しい時間は、あっと言う間にすぎ…空が暗くなり始め夜が始まろうとしている。
その時“夜景が見たい”と言った私のお願いに答えてくれて高台へとやってきた。
「うわぁ~…ほんとにキレイだね~…」
そこから見える夜景を見て呟く。
そして設置してある柵に手を置いた。
「うん、そうだね…」
ここからは…この街全体の景色が見渡せる。
それにここは展望台のようになっているんだけど…それが出来たのがごく最近。
最近っていっても一ヶ月や二ヶ月とかじゃなくって…ここ二年以内のこと。
そう…玲央くんが留学に旅立つ前には出来ていなかった。
高台自体はあったけど…キレイになんて整備はされていない。
だから玲央くんとここに来るのは…初めてなの―…。
「…未亜。」
二人の沈黙を破る玲央くんの声。
「え…っ!?」
外ではあまり呼ばれない呼び名に驚き彼の方を振り向く。
「これ…」
そう言った玲央くんは…小さな箱を取り出した。
「開けても、いいの…?」
「…うん。」
私の問いに玲央くんは力強く頷く。
彼の姿を見て、それを受け取り箱を開ける。
パカ…ッ
「えっ…?」
そして…中身を見て再び驚く。
だって…受け取ったその小さな箱の中には…
キラキラと輝く指輪が入っていたのだから―。
何これ…?すっごいキレイ…っ
え、でも…何でこれを私に…?
記念日でも誕生日でもないのに…。
「未亜…、」
「え…」
「俺の傍に…ずっといてくれない?」
また名前を呼ばれて見上げると…
真剣な顔をした彼にそう言われた。
「えっ…?それって…どうゆう…っ」
だけど私には…あまりにも突然すぎて意味が分からない。
え、え…!?なに…?どうゆうこと…!?
「だから……俺と結婚してほしい」
「っ…!!」
分かるように言ってくれた“その言葉”
それで、はっきりと分かった。これは…
玲央くんからのプロポーズ…―。