♀ my prince ♂
そしたら…
玲央くんの顔が、すっっごく近くなってて…
唇には柔らかい感触――。
それは一瞬の出来事すぎて…
何も反応なんて出来なかった。
そして…段々と玲央くんの顔が離れていく――。
「…未亜ちゃん?」
「……ぇ?!」
私を呼ぶ玲央くんの声で我に返った。
「もうそろそろ時間だから…行こっか」
「へっ……うん…ッ」
私が返事をすると玲央くんは歩き始めた。
―そして。
その教室を出たあと体育館に向かうと、もうほとんどの人が帰ってきていたようで…そのあと、
最初に喋っていた司会の人が何か言っていたけど…私の耳に、その話は全く入って来なかった。
それからオリエンテーションは何事もなく幕を閉じ自分たちの教室に戻ると…
すぐに担任の先生がやって来て帰りのHRを終えると、みんなは帰って行った。
だけど私には…
玲央くんと、あの教室を出てからの記憶が…
あんまり、というか…ほとんどなかったんだ――。
「……未亜ちゃーん、大丈夫~?」
そう言った夏凛ちゃんの声でハッと気がついた。
「えっあっ……なに?」
「何?って、さっきから様子がおかしいからどうしたのかと思って」
「そっか…ごめん…」
「いいよ、謝んなくて。それより…何かあったの?」
「えっ、と……ここでは…言えない…ッ」
「じゃあ私の部屋行こっ、ねっ?」
「うん…ありがと…」
「ううんっ」
―――――…
―――――――…