♀ my prince ♂
―それから。
しばらくして入学式が始まり…入学式が終わると教室に移動した。
そして自分の教室に入った私は黒板に貼ってあった席順の紙を見る。
「えぇっとー……」
私の席は、と……あ、あった!
紙に書かれた自分の名前をようやく見つけた。
見つけた私の席は廊下側の一番後ろの席。
私、端っこの一番後ろなんだ。何か…ちょっとラッキーかも!
そう思いながら席に着くと…
「きみ…俺の隣なんだ?」
そう言った声が聞こえた気がして聞こえてきた方向へ振り返る。
するとそこには…
いかにも女の子にモテそうな、すっごく顔の整った男の子が立っていて…
「…!」
私の隣の席に座った。
「あっうん…そうみたい…」
「ふ~ん…そっか。あっ俺、里原 玲央(さとはら れお)って言うんだ。玲央って呼んでくれて全然いいから。」
「えっ…!?うん…」
この“玲央”って人の言葉に少し驚く。
何か……軽くない…??
「きみは?なんて言うの?」
「あっ…私は…鈴村 未亜」
「へぇ~。可愛い名前だね?」
そう言って彼はにっこり微笑む。
「えっ…?そう?」
「うんっ!」
頷き彼はまた微笑みをくれる。
「っ…」
私…男の子にこんなこと言われたの…生まれて初めてだ…。
「じゃあさー…未亜ちゃんって呼んでもいい?」
「へ…っ!?」
私は彼の発言に驚いた。
やっぱ軽いよ!!この人…っ
「ダメかなぁ…?」
“軽い”と思ってしまったあとに見た彼の目は、何だか…
「っ…、」
すっごく可愛くって…見とれてしまいそうで…気づいた頃には、
「えっ、と……いいよ…」
こう返事をしてしまっていた――。
「ほんとに?」
「うん…」
「ありがとう。これからよろしくね?」
そう言ったあと彼は、また笑った。
しかも…爽やかで優しそうな顔で―。
もしも例えるなら…王子様のような笑顔―。
「…うん。こちらこそ…よろしくね…?」
これが…私と“王子様”との出会いだった――。