♀ my prince ♂
―それから数日が経つ。
この頃の私は玲央くんの行動一つ一つに…
“ドキッ”と、してしまうようになっていた。
だけど私には、これが何なのか…まだ全然分からないまま。
“これって何かの病気なんじゃないの?”って夏凛ちゃんに相談したこともある。
でも夏凛ちゃんは…“未亜ちゃんが分からないなら…対処のしようがないよ?”って言うだけ。
ねぇ、誰か…私がこうなってしまう原因を教えて…―?
そんな私は今日もいつも通り夏凛ちゃんと寮に帰ろうと廊下を歩いていた。
その時…―、
「…夏凛様っ」
そう呼ぶ声が聞こえて二人で前を向く。
「…??」
するとそこには…
スーツをバッチリと着こなした男の人が立っていた。
歳は…30歳前後?かなぁ…顔も整っている印象を受ける。
「あっ……宮崎(みやざき)さんっ」
夏凛ちゃんがその人の名前を呼ぶ。
……??
「夏凛ちゃん…知り合いなの?」
「うん。…あっそっか。まだ会ったことないよね?」
「うん…」
「この人は…里原くんの執事さんなんだ」
「えっ…あっそうなんだ…!」
「初めまして。わたくし、宮崎と申します」
「あっ…初めまして。鈴村 未亜です」
そう言った宮崎さんが頭を下げ、私も続いて頭を下げた。
「ところで宮崎さん。ここで何をしていたんですか?」
夏凛ちゃんが宮崎さんにそう聞く。
「実は、玲央様を探していまして―…」
ドキン…ッ
宮崎さんが口にした“ある人”の名前に、
何故か私の心臓は大きく反応した…―。