♀ my prince ♂
えぇ…っ!?ま、待って…!!
今、名前聞いただけなのに…何で…?
「夏凛様…知りませんか?」
「私は…見てないです。未亜ちゃん知ってる?」
「えっ…?ううん…」
夏凛ちゃんに急に振られた私は戸惑いながらそう言った。
「そうですか…では他を当たってみます」
「ごめんなさい、お役に立てなくて」
「いえいえ。それでは失礼致します」
そう言ってお辞儀をした宮崎さんは足早にその場を去って行った――。
ドキドキ……ッ
何…?なに、なに、なに、なに…!?
もう何なのこれ…苦しい…疲れるよ…っ
「おーい未亜ちゃーん…?どうかした?」
「えっ…!?ううん……何でもない」
夏凛ちゃんの言葉で現実に戻る。
「そ…?じゃあ帰ろ?」
「うん…ッ」
私が返事をしたあと私たちは
再び部屋に向かって帰り始めた。
私…ますますヤバくなってる気がする…。
これって…
玲央くんが“好き”っていうことなの…?
でもでも…“好き”っていう感情が…
どうゆう感じで、どんな気持ちなのか…
本当に全然分からない…――。
名前の分からない気持ちを抱き始めた私の苦悩の日々は…
まだまだ続いていきそうな気がした。
そんな時―…、
『あの方がもうすぐ帰ってくるってー』
『えぇ~!!本当に~?』
『うん!関係者の人がそう言ってたんだってー!』
『そうなんだー!!楽しみだねー……』
そんな会話を繰り広げる女の子二人の声が聞こえてきた。
一体、誰のことを言っているんだろう…?
でも…すごく人気者なんだなぁ、その人…
私はその会話を聞きながら…ただ純粋にそう思っていた――。