♀ my prince ♂




「うん。だからほんとに気をつけてね?じゃあ渡部くんのこと教えてあげようか?」



「うん…お願いッ」


私は夏凛ちゃんにお願いをした。



「渡部くんはね……もう一人の王子様なの」



「もう一人の…王子様…?」




この学校…王子様が二人もいるんだ…。




「うん。で、渡部くんも…里原くんと同じぐらい頭がよくって運動神経バツグンで…里原くんの家に負けず劣らず、お金持ちなの。」



「へぇ~…それにあのルックス…だもんね…?」



「そうそう。だからさっきのは…渡部くんの追っかけだったってわけ」


「じゃあ亮くんも……様付け?」



「うん。されてるよ」


私がそう聞いてみると夏凛ちゃんは当然のようにそう答えた。



「えぇっ…!?すごい…幼なじみ、だね…」



「だよね。もうなんだろ…?二人が揃うと最強?みたいな」



「それ…何か分かる気がする…」



「でしょっ!?」



「うん…てか夏凛ちゃんは亮くんとは仲良いんだ?」



「ん~…どうかなぁ?まぁ里原くんとは、ぜんっぜん違う感じだけど。」


夏凛ちゃんは“全然”の部分をやけに強調して言う。




「……。」




そこまで玲央くんのこと目の敵にしているなんて…。




「そ…そっか。あとね、さっきからずっと気になってたんだけど…」



「なに?」



「亮くんって…今まで何してたの?」




ほんとに気になってたんだよね、これ。




「えっとねー…留学だよ。確かイギリス」



「へぇ~!すごいね、留学なんて」



「うん、そうだねっ」




―こうして。



“もう一人の王子様”


そう呼ばれる亮くんが帰って来て、
前にも増して賑やかな高校生活が…


始まるのだった――…。





< 34 / 203 >

この作品をシェア

pagetop