♀ my prince ♂
「うん。だからほんとに気をつけてね?じゃあ渡部くんのこと教えてあげようか?」
「うん…お願いッ」
私は夏凛ちゃんにお願いをした。
「渡部くんはね……もう一人の王子様なの」
「もう一人の…王子様…?」
この学校…王子様が二人もいるんだ…。
「うん。で、渡部くんも…里原くんと同じぐらい頭がよくって運動神経バツグンで…里原くんの家に負けず劣らず、お金持ちなの。」
「へぇ~…それにあのルックス…だもんね…?」
「そうそう。だからさっきのは…渡部くんの追っかけだったってわけ」
「じゃあ亮くんも……様付け?」
「うん。されてるよ」
私がそう聞いてみると夏凛ちゃんは当然のようにそう答えた。
「えぇっ…!?すごい…幼なじみ、だね…」
「だよね。もうなんだろ…?二人が揃うと最強?みたいな」
「それ…何か分かる気がする…」
「でしょっ!?」
「うん…てか夏凛ちゃんは亮くんとは仲良いんだ?」
「ん~…どうかなぁ?まぁ里原くんとは、ぜんっぜん違う感じだけど。」
夏凛ちゃんは“全然”の部分をやけに強調して言う。
「……。」
そこまで玲央くんのこと目の敵にしているなんて…。
「そ…そっか。あとね、さっきからずっと気になってたんだけど…」
「なに?」
「亮くんって…今まで何してたの?」
ほんとに気になってたんだよね、これ。
「えっとねー…留学だよ。確かイギリス」
「へぇ~!すごいね、留学なんて」
「うん、そうだねっ」
―こうして。
“もう一人の王子様”
そう呼ばれる亮くんが帰って来て、
前にも増して賑やかな高校生活が…
始まるのだった――…。