♀ my prince ♂
「あのね。私……やっと気づいたの。」
そして私は…そのことを喋り始める―。
「何に?」
「……玲央くんが好き…って…」
「そうなんだ!でも…何で気づいたの?」
「それは…さっき亮くんに聞かれたから」
「何を…?」
「“玲央のこと、どう思ってんの?”って…」
「で、なんて答えたの?」
「優しいし、笑顔好きだし…ドキッとする…って答えたの。
そしたら次にね…?“じゃあ俺のことは?”って聞かれて…」
「で、未亜ちゃん…なんて言ったの?」
「夏凛ちゃんみたいに好きって答えた。そしたら亮くんがね、“俺は友達だね”って言って…」
「うんうん」
夏凛ちゃんが頷く。
「それで……キス、された…」
「……。未亜ちゃんて…ほんとによくされるよね」
最後は俯いてそう言うと夏凛ちゃんの呆れたような声が聞こえてきた。
「えっ…うん…でもその時に気づいたの…。“玲央くんの時とは何か違う”って…」
「じゃあそれで…好きだ、って思ったの?」
「…うん…」
私は小さく頷いて顔をあげる。
「そっかぁ~。よかったね、気がついて」
夏凛ちゃんは笑顔でそう言ってくれた。
「うん…ッ」
「なら…告白したりとかしないの?」
「えぇっ!?無理、無理~ッ!!今はこれで、一杯一杯だもんっ!!」
そんな夏凛ちゃんの爆弾発言に…
私は手を大きく横に振ってそう言った。
「ん~…まぁそうかもね。でも…それに気づけただけでも一歩前進だよ!」
「…うんッ」
こうして季節は…段々と夏に近付こうとしていた――。