♀ my prince ♂
「……小嶋?」
「へっ…!?うん…」
玲央くんが口にした名前に驚きながら振り返った。
「でも…何で?」
「ん~…。未亜ちゃんの話してる感じからして…そうゆう気がしたから、かな?」
「そっか。てか休憩室にね―…?」
「誰かいるって?」
私の言葉を遮って玲央くんがそう言った。
「えっあっ……うん…」
「やっぱりね。
未亜ちゃん電話で喋ってる時、顔がコロコロ変わってたから…
そんな話なんじゃないかなぁ…?って思ってたんだよねぇ~。」
戸惑いながらの私の返事を聞いて納得したような声を出す玲央くん。
「……っ」
私…そんなに分かりやすかったのかな…?
「…でも大丈夫。俺が何とかするよ」
私の頭をポンっと撫でた玲央くんは…バルコニーを出て行った―。
「//……」
でも玲央くん…一体どうするんだろう…?
っていうか…頭をポンなんてするから…
またドキドキ、復活しちゃったじゃん…―。
「…おまたせ。もう誰もいないよ?」
しばらくして玲央くんが戻ってきて再び私の隣に座る。
「えっ…何したの?」
「“ここにいるのは俺一人だよ”って言ってきた」
玲央くんの言葉に驚きそう聞くと玲央くんはサラっとそう返す。
「え…?でもそれで…みんな納得したの?」
あんな噂がある場所なんだよ…?
例え玲央くんがそう言ったって…
みんな、納得なんてしないはず…。
「いーや?だから…ちょっと理由もつけといた」
「理由…?どんな?」
「それは内緒。それより…もうちょっと話そうよ」
「ぅ…うん…」
そのあとも…他愛もない会話をした―。
玲央くんが小さい時にやっていた、いろんな習いごとの話とか、
この前開かれたという玲央くんのお誕生日パーティの話とか…
とにかく、いろんな話…―。
本当の本当にドキドキしたままの時間だったけど…
それと同時に…すっごく嬉しい気持ちと幸せな気分、
“玲央くんを独占している”っていう、
優越感でいっぱいになった――。