♀ my prince ♂
【夏凛 side】
―そのあとも。
順調にプログラムをこなした。キャンプファイヤーだったり飯ごう炊さんをしたり…。
してることキャンプじゃん!…って思うことも多々あったけどすごく楽しい日々だった。
そんな楽しかった宿泊研修も今日が最終日―。
カチャ…ッ
私が渡部くんとリビングにいる時ちょうど部屋から里原くんが出てきた。
「小嶋…未亜ちゃんは?」
「え…部屋にいるけど?」
「ふ~ん…そっか…」
「…小嶋さん。ちょっと来て」
里原くんがそう言うと渡部くんが私の腕を掴んだ。
「えっ…なに?」
「いいから、いいから。玲央ー。俺ら…ちょっと出てくるわ。」
「あ…うん、分かった」
バタン…ッ
里原くんの言葉を聞いたあと渡部くんは私の腕を掴んだままコテージの外に出て行った。
「…ごめんね?付き合わしちゃって」
「え、うん…でも何なの?」
「玲央と未亜ちゃんを…二人っきりにさせようと思って」
「……あぁ~。そうゆうこと?」
一瞬、渡部くんの言っていることが分からなかったけど…すぐに理解した。
「うん。」
なーんだ…渡部くんも気づいてたんだね。
「じゃあ私も大賛成っ」
「ありがとう。」
そう言った渡部くんの顔が近くなってくる気がした。
ちゅ…っ
「っ…!」
そして…私のほっぺにキスをした―。
・・・・・。
「…渡部くん」
「んん?」
「よくするよね?」
「そう?お礼だよ。お礼」
「ふ~ん…じゃあどっかで時間潰そ?」
「そうだね」
―こうして。
私と渡部くんは二人のために、しばらく時間を潰すことにした。
だけど…彼にキスされた時、少しだけ…"ドキッ"としてしまった…。
でも…この"ドキッ"とした感じが、この時の私には…
まだ"好き"なのかどうかも分かっていなかった――…。