♀ my prince ♂
ガチャ…ッ
「こんばんは、未亜ちゃん」
慌てて着替えて慌てて部屋を出ると…笑顔でそう言う玲央くんが目の前に立っていた。
「あっ…こん、ばんは…玲央くん…」
私はそう言って俯いた。
ちなみに玲央くんの服装はというと…ジーンズに白いTシャツという普段あまり見ないラフな格好をしていた。
な、何か…いつもと雰囲気違うなぁ……てかそれよりっ!
「あっの……待ってない…?」
このことが気なっていた私は玲央くんの顔を見上げた。
「ん…?待ってないよ?…どうして?」
「えっ、と…ちょっと気になって…聞いてみただけ…」
「そっか。じゃあ行こ?」
「へっ…!?どこに?」
玲央くんの発言に私は驚く。
「休憩室のバルコニー」
玲央くんはニコッと笑う。
「バルコニー…?何でそんなとこ行くの?」
「さっき空見てたら星がキレイだったから…未亜ちゃんと一緒に見たいなーって思って。……ダメだった?」
「ううん、そんなことないよ?でも…」
そこまで言って私は再び俯いた。
だって、この時間って…
もう消灯時間すぎてるから廊下は暗いし所々にあるランプの明かりしか点いてないんだもん…。
そんな中、休憩室まで歩いて行くなんて…ちょっと怖いよ…っ
「…っ!?!?」
へっ…!?!?
そう思っていた時、玲央くんが私の腕を取り…自分の腕に捕まそうとした。
「えぇっ…玲央、くん…!?」
つまり…私が腕を掴めば腕を組むことになる状態。
「未亜ちゃんさ…暗いの怖いんでしょ?だったら…俺の腕に掴まってなよ。」
「へっ…?うん…」
私は一瞬、戸惑ったけれど…玲央くんの腕をそっと掴む。
「でも…何で分かったの…?私が暗いの苦手だ、って…」
遠慮がちに玲央くんを見ながらそう聞いてみた。
「んー……。今の感じでそういう気がしたから、かな?てか前にも、こういう場面あったよね?」
「ぇ…」
「覚えてる…?」
玲央くんにそう言われて思いを巡らせる―。