♀ my prince ♂
……ぁ。
「…うん、覚えてる。…オリエンテーション」
それは…オリエンテーションの最後のチェックポイント。
理科室が暗くて玲央くんと繋いでる手の力をグッと強くしたんだっけ…。
「…じゃあ行こっか」
「あっ…うん…っ」
そう言って歩き出す玲央くんに、つられるように私も歩き出した。
ど…どうしたらいい、のかな…?こんなことするの…初めて、だし…。
「未亜ちゃん…もっと掴んでいいよ?」
突然、玲央くんがそう言った。
「へっ…?」
どういう、こと…??
だけど私には全く意味が分からず彼を見上げる。
「だって未亜ちゃん、すっっごいソフトに掴むから…もっと掴んでくれていいのにって思って」
ギュ…ッ
「…っっ」
私の心を読んだらしい玲央くんはそう言う。
そして…玲央くんの腕を掴んでいた私の腕を取り私の身体を自分の方に引き寄せる。
そのせい?で少しだけ離れていた私と玲央くんの距離が0センチになってしまった。
こ、こんなにくっついたら…すっっごいドキドキしちゃう、じゃんか…。
玲央くんってば…私がこんなにもドキドキしてるなんて知らないくせに…。
そんなドキドキは全然治まらないまま休憩室まで辿り着く。
カラカラ…ッ
バルコニーへと続く窓を玲央くんが開けた。
「うわっ、ほんとだ…すっごいキレイ…」
すると夜空には…玲央くんが言っていた通り、いくつもの星が輝いていた。
「でしょ?てかこっち。座ろ?」
そう言う玲央くんに連れられベンチに座った。
と同時に、組んでいた腕も私から離す。