♀ my prince ♂
「ねぇ……目、見てよ」
ドキン…ッ
次にそう言う優しいけど少し低い声に…私の心臓は大きく跳ねた。
「む……無理…っ」
「何で?無理じゃないし。……お願い。」
「っ…」
な、なに…!?今の“お願い”の言い方…。
ずるい…ずるい、ずるい、ずるい…っっ
可愛すぎて、ずるい…なんなの?この人…。
そんな言い方されたら…私が敵うわけ…―。
「っ…」
気づいた頃には、その“お願い”を聞いていた。
敵うわけないに決まってるじゃんか…っっ
「ははっ…やっと見た。じゃあ…ご褒美ね?」
「…んっ」
玲央くんはそう言ったと同時おでこを離し…今度は唇同士がくっついた。
「っ…ん…」
彼は何度も何度も角度を変える。
いつまでも私を離しいてくれないような感覚に陥るほど―…。
「……っ」
どれくらいの時間が経ったのか分からなくなってきた頃…やっと玲央くんが私を開放してくれた。
「……初めてじゃない?こんな長いの」
「ぅ……うん…」
私は小さく頷き俯く。
そ、そうだよ…こんな長いの…初めてだ…。
そう思うと同時に、さっきまでのことが頭の中で思い出されて急に恥ずかしくなってしまう。
「っ…!」
「どうした…?顔、真っ赤だよ?」
すると…玲央くんが私のほっぺを触った。
「だ…大丈夫…」
「ほんとに~?めちゃめちゃ熱いんだけど」
「~…っ。大丈夫、だもん…」
もうっ、玲央くんのせいなんだから…っ!!!
「……」
『…だから……可愛すぎだっつの…』
そんな玲央くんの呟きなんて私の耳には届いていない。
だって、だって…っ!!
唇にはまだ、はっきりと感覚が残っているし…
脳内再生だって止まってくれないんだもん…。
「じゃあそろそろ帰ろっか。時間も遅くなってきたし」
玲央くんに頭をポンポンされたあと部屋へと戻り始めた――。