♀ my prince ♂
「これでだいたい分かった?」
「うん、まぁ…とりあえず玲央くんが“すごい人”っていうのは分かったよ。教えてくれてありがとう。」
「どういたしまして。それより帰んない?もう誰もいないしさ。」
そう言われて周りを見渡した。
「あっうん、そうだね」
そう言って寮へと帰ることにした私たちは、
寮への近道の(※夏凛ちゃん談)渡り廊下がある方へと歩き出した。
「…ねぇ、夏凛ちゃん」
「なにー?」
「他に友達って…いるの?」
「あぁ~うん。けど…話が合わない子が多いかなぁ…」
「え…?話が合わないって…どんな感じ?」
「何かねー…?いかにも“お嬢様です”みたいな喋り方するの」
「え、じゃあ…“~ですわ”、とか?」
私がそう言ったら夏凛ちゃんは「はははっ」と笑った。
「んまぁ…そんな感じかな?」
「へぇ~…私ついていけないかも…」
「私もだよーっ」
「へ…?」
夏凛ちゃんの発言に私は驚いた。
「だから…普通な喋り方をする未亜ちゃんがいて…すっごい嬉しいんだぁ。」
「っ…」
夏凛ちゃん…私、感動して泣きそうになるよ…。
「ありがとう、夏凛ちゃん。私にそんなこと言ってくれて…。私も夏凛ちゃんと話せて嬉しい」
だけど私は笑顔でそう答えた。
ほんとに嬉しいよ?夏凛ちゃん。ちゃんと伝わってるかなぁ…?
「あと聞きたいことがあったら何でも聞いてね?私が知ってることであれば答えるし!」
「うんっ」
……ぁ。
「…あっじゃあ、もう一個聞いてもいい?」
「どうぞどうぞ?何?」
「夏凛ちゃんは…玲央くんが好きだったり、ファンとかじゃないの?」
「私っ!?ないないない、そんなのっ!!!」
夏凛ちゃんは自分を指差したあと思いっきり手を横に振った。
「あっ、そうなの?」
「うん!絶対にありえないよー!!!まぁ普通には喋るけども。」
「へぇー。そうなんだー…」
これが…私と“親友”夏凛ちゃんとの出会いだった――。