♀ my prince ♂
―――――…。
夢を見た。
好きな子と一緒に笑いあっている、すっごく幸せな夢。
その子の笑顔は眩しくって…見ているだけでこっちまで嬉しくなる。
“好き”って言って後ろから抱き締めると…すぐ顔を赤くする彼女。
それが堪らなく可愛らしいんだ…―。
だけど、そんな顔がもっと見たくて…俺は意地悪する。“ねぇ…俺のこと好き?”って。
そしたら彼女は、もっと恥ずかしがって慌て始める。“え、え…!?そ、それは…っっ”
“好きっ…だよ…―?”
チュンチュン…チュンチュン…
「…んん」
俺は鳥のさえずりで目を覚ます。
すると横向きで寝ている俺の前に人の後ろ姿があった。
「……!!!」
…って!
これ未亜ちゃん…!?えっ、何でここにいるん…って、そうだ。
昨日、未亜ちゃんの部屋に来て…そのまま寝ちゃったんだ、俺…。
「ん…?」
ちょっと待てよ…?俺、今…何気に未亜ちゃん抱き締めてるんだけど。
ゆっくりと今、置かれた状況を認識していく。
「……。」
何やってんだ?俺…寝てる間に抱き締めるとか。
あ…今、思った。この体勢じゃ寝顔、見れねぇじゃん。すんげぇ悔しいんだけど。
…ってそんなことより。いやいや!今のも大事だけど。起こした方がいいよな…?
けど急に起こしたら未亜ちゃんビックリするだろうし…。
どう起こすのがいいのかを色々と頭の中で考え抜いた結果…
「未亜ちゃん…?朝だよ…?」
そう囁き抱き締める力を強くした――。