♀ my prince ♂
―数十分後…水族館に到着。
「わぁ!見て、玲央くんっ!ペンギンだよ!可愛い~」
ガラス越しに見えるペンギンを指さす。
「ほんとだ。可愛いね」
「…あ!あっちにはアザラシもいる~!行こう?玲央くん早く!」
そう言って玲央くんの腕を引っ張る。
「おぉっ…と。そんなに慌てても逃げないから」
「だけど、いい場所で見たいじゃんっ」
「まぁ。それはそうだけど…―」
そんな冷静な玲央くんとは対照的に私のテンションはどんどん高くなる一方。
初めてデートできたのが嬉しいのと…二人だけで来れたのも嬉しすぎて…―。
「はぁ~…」
私すっごい騒いじゃった…どうしよう?ほんと子供みたい…。
だって玲央くんは全然騒いでないんだもん…。
「…どうしたの?ため息なんかついて」
「え…?ついてた?」
玲央くんにそう言われて初めて自分がため息をついていたことに気がつく。
「うん、思いっきり。何かあった?」
玲央くんは少し心配そうな顔で私を見つめる。
「……言ってもバカにしない?」
「しないよ。何…?」
フワッと優しく笑ってくれる玲央くん。
「あのね…―?」
それなら…言ってもいいかな…?って、そう思ったの…。
「―…私、騒ぎすぎかな?って…」
「騒ぎすぎ?」
「うん…。だって子供みたいに、はしゃいじゃったんだもん…」
意を決して言ったのに彼は「ふふっ」と笑った。
「っ…」
ひどい…バカにしないって言ったのに…っ!!
そんな彼の態度に心の中では怒りを露わにし始める。
「…そんなこと心配してたの?」
「え…?」
だけど…意外な言葉を言われて少し驚く。
「俺は…そのまんまの未亜ちゃんが好きなんだよ?だから…そんなこと気にしないで?ね?」
玲央くんは優しくそう言ってくれた。
「…っ」
玲央くん、ごめんなさい…。少しでも怒った自分が情けない…。
「うん、分かった…」
“好き”って何回言われても嬉しい…。でも…まだまだ照れちゃうけど…。