♀ my prince ♂
smile.15
駆け引き
―夕方。
ピンポーンッ
「…あっ未亜ちゃん!」
寮に帰った私たちは夏凛ちゃんの所へ行った。
「今日はね、玲央くんもいるんだ!」
「えっどこ…?」
夏凛ちゃんは辺りをキョロキョロと見回す。
「…もうっ、こっち来てってば!」
「あっほんとだ。いたんだ~?」
私はドアの裏に隠れていた彼の腕を引っ張り玄関前に立たせる。
すると夏凛ちゃんの一言で、いつもの攻防が始まる予感がした。
「いるけど。悪い?」
「そんなこと全然言ってませーーん!てかそんなことより!未亜ちゃんが着てるその洋服すっごい可愛いね!それどうしたの?」
「えっ、と…玲央くんがくれたの…」
興奮気味に聞いてくる夏凛ちゃんに私は言葉に詰まりながら答えた。
「えぇ~!!嘘~っ!?」
「嘘な訳ねぇだろ!?」
夏凛ちゃんが驚きの声をあげると玲央くんがそれに反撃。
「まぁそっか、未亜ちゃん嘘つかないし。でもすごいねぇ~。未亜ちゃん、それ…めっちゃ似合ってるよ!!!」
「ほんとに?」
「うんっ!そっか、そっかー。里原くんて…センスだけはいいんだ?」
夏凛ちゃんは“だけ”を強調して言う。
「“だけ”って何だよ?」
「特に意味はないっ」
「あっそっ」
あれっ…?今日はあんまり言い返さない…?まぁ私はその方がいいんだけど…。
「っていうか疑問なんだけどさー、里原くんはサイズ知ってたの?」
人に聞かれては非常に困ることを夏凛ちゃんに質問されてしまう。
「っ…!!」
ふぇっ!?つ、ついに聞かれちゃった…。だって朝言ってたもん。
“この前、触ったから分かった”って。なんて言うのかな…?
「え、知らないけど?だから触った」
内心ヒヤヒヤしていたけれど…玲央くんはあっさり事実を話した。