♀ my prince ♂
―夜。
「…ねぇ、未亜ちゃん」
「ん…?なに?」
リビングのソファに並んで座っていると、
玲央くんに声をかけられ私は彼の方を見た。
「今日…どうだった?」
「楽しかったよ、すっごい!それにね…?初めてだったの」
「初めてって…デートが?」
玲央くんの表情は少し驚いていた。
「うん。だってそんなの…今までしたことないんだもん」
「あっ…そうなんだ」
「うん。あっそれと…もう一つ言ってないことがあるの。」
いつか言おうとは思っていたけど…今もう言っちゃおうと決めた。
“あのこと”を…―。
「え……何?」
「玲央くんは、私の……初恋の人。」
一呼吸、置いて…そう告げる。
「えぇ…っ!?あ…そうなの!?」
すると玲央くんは目を見開くほど驚いていた。
「…うん。」
こんな風に慌てる玲央くん、あんまり見ないな…かなり貴重かも。
「じゃあ俺、未亜ちゃんの初めて…いっぱい貰ってんだね?」
「え…うん。そうだね…」
玲央くんの一言に私は少し俯いた。
そっ、か…。普通に考えたらそうだよね?今まであまり深く考えてなかったかも…。
その時―、
「…未亜ちゃん」
「へっ…?」
突然名前を呼ばれて驚きながら顔をあげる。
「っっ…」
すると、ちゅっ…と軽く触れるぐらいのキスをされた。
「……」
これだけ…?いつもより短い気がする…。
瞬間的にそんなことを思い…玲央くんを見つめてしまっていた。
「何…?もっとしてほしいの?」
「えぇっ…!?!?」
玲央くんにそう言われてしまい私は戸惑う。
「そ、それは…」
そうじゃないかもしれないし…そうかもしれない…。
もう私は一体…なんて返したらいいの…?
「じゃあ…してくれたら、もう一回する」
「えぇ…っ!?」
思い悩む私に玲央くんからの提案が降りかかる。
そんなことを言われた私は…ものすごく驚いた。