♀ my prince ♂
smile.16
学園祭
―10月下旬。
まだ少し日差しが暑く感じる、お昼休み。
私は夏凛ちゃんに学園祭の話を聞いていた。
「――…で。ミスコンとイケメンコンテストがあって…毎年、高一の中から選ばれるの」
「え…?高一生限定…なんだ?」
「うん。何でかは知らないけど」
「ふ~ん…」
でも何で限定なんだろう…?そこが謎だなぁ…。
「っていうか…そんな呑気にしてて大丈夫なの?」
なんとなくそう思っていると夏凛ちゃんは少し真剣な顔になる。
「え……どうゆうこと…?」
「里原くん…候補に挙がってんじゃん?」
「うん。まぁそうだけど…」
「多分、じゃなくて…ぜーったい!最終残るよ!?」
「だろうな~…だって王子様だもん…」
「“王子様だもん”とか言ってる場合じゃないの!!」
私が何も考えずに言った言葉に夏凛ちゃんが急に声を張る。
「えぇ…っ!?な、なに…!?何かあるの…?」
そんな彼女を見て私は慌ててそう言った。
「あっ……そっか、そうだった。まだ言ってなかったよね…?急にごめんね?」
「えっ…ううん…」
私の様子を見た夏凛ちゃんは申し訳なさそうに謝った。
「あのね、そのコンテストで優勝した二人は…“何かをする”っていう決まりがあんの」
……??
「何かって…何なの…?」
「それは毎年違うみたい。確か去年は…お姫様抱っこ、だったかな?」
「へぇ~、そんなことしたんだー。でもそんな感じだったら…心配する必要、ないんじゃない?」
それぐらいだったら…例え玲央くんが選ばれたとしても…私だって許せる…。
「ううん!問題はそこなのっ!!」
「え…?何で…?」
だけど夏凛ちゃんは私の言葉にNOを突きつける。
何でそう言うのか…私には全くと言っていいほど分からない。
“問題…?” 何が問題なの…??
「何かね?噂で聞いた話なんだけど…今年の実行委員に…――」
そう言う夏凛ちゃんは私に近づいてくる。