♀ my prince ♂
「ねぇ、夏凛ちゃん」
「んっ?」
「ちょっとお願いがあるんだけど…」
「なにぃ?」
「あのね…これから毎日こうして欲しいなって…」
「未亜ちゃん…」
「あっ、でも!無理なら別にいいんだけど…」
私が困惑しながらそう言うと夏凛ちゃんが「ふふふっ」と笑う。
「もー…未亜ちゃん何言ってるの?そんなのいいに決まってんじゃんっ!私たち、友達でしょ?」
「ありがとう、夏凛ちゃん…。あのっ、私ね…?この学校に一人で来たから、すっごい不安だったの…。
知ってる子なんて誰もいないし、しかも中学からそのまま高校に来てる子が多いのは知ってたから、
みんな既に仲良さそうだし…。だから私…夏凛ちゃんが友達になってくれて…すっごく嬉しいのっ!」
「私も同じだよ…」
「え…?」
夏凛ちゃんの言ったことが…よく分からなかった。
「だって今まで周りにいた子たちは…私の家よりもかなりお金持ちの子たちばっかりで…話とか合わせるのが本当に大変だった…。
だからね…?私も未亜ちゃんと友達になれて嬉しいんだっ」
「夏凛ちゃん…私、ちょっと泣きそう…ッ」
「何で未亜ちゃんが泣きそうなの?」
「分かんない…ッ」
「もう…大丈夫ー?」
「うん…何とか」
私は出てきそうだった涙を必死で堪えた。
「よしっ!てかもう着いちゃったし」
そんな声が聞こえて前を、よく見てみると食堂の前だった。
「ほんとだ。着いちゃったね」
私は夏凛ちゃんにそう言った。
「中入ろーっ」
「うんっ」
そこへと辿り着いた私たちは中へと入っていった――。
そしてここにも“やっぱりお金持ち校だな”っていう要素があって、
料理を作っているのは…某・有名レストランのシェフさんたち。
しかも…日替わりで来るらしい。
ここまで来ると何かもう…よく分からなくなってきた…。
あと夏凛ちゃんとの間で決めたこと―。
朝と晩ご飯の時に早く用意が出来た方が相手の部屋のチャイムを鳴らす。
今日は夏凛ちゃんが私の部屋に来ていたけど…私がこれをやってもいいのかと思うと本当に嬉しい気持ちになった。