♀ my prince ♂




「ごめんね?未亜ちゃん。

 俺さ…こんなことになるとは思ってなくて…すっごい嫌な思いしたよね?
 本当にごめん…。それに逆だったら…俺だって絶対ヤダもん。」


玲央くんは耳元で優しくそう言ってくれた。



「…っ」




れお、くん…。




「…うぇ~ん……玲央くーん……」


その言葉が合図かのように私は彼に抱きつき一気に涙が溢れ出す。



「よしよし。…もう大丈夫だから。ね?」


そう言いながら私の頭を撫でてくれる玲央くん。



「うんっ…よかった~…グスン…ほんとよかったぁ…っ」



「ごめんね…?あ。まだ不満ですか?」


玲央くんは司会者にそう聞いているようだった。



「いやっあのー…そうゆう訳では…」



玲央くんがどんな顔をしているのかは分からない。
だけど、この人の声が…怖がっているように感じた。



「ふ~ん……じゃあ…、」



「っ!」


玲央くんは私を離して…ばっちりと視線が絡む――。




「……好きだよ?」



「え……っ…!!」


突然言われた“その言葉”に戸惑ってしまうと…
そっと触れるぐらいのキスが唇に落とされた―。




その瞬間…―。



「「きゃああぁぁ~…!!!!」」


ファンの子たちの悲鳴が聞こえたような気がする…。




「/////……っ」




こ…こんな大勢の人がいる前で…っっ




「…これ、もう終わりですよね?」



「えぇ、まぁ…」


玲央くんは強気で言うけれど司会者は、まだビクビクしている様子。



「じゃあ行こ、未亜ちゃん」


そう言った玲央くんは私の手を握って会場をあとにした――。




ま…また人前でキスされた…っっ


毎回毎回、私がどんな気持ちなのか…
玲央くんってば全然知らないくせに…。





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