朧月

空の部屋に入ると、温かい紅茶が用意されていた。

「わーい♪飲んでいいの?」

「どうぞ。とても今さっき振られた人間とは思えないね。」


空は私が思っていたことと同じ言葉を発した。

「そうだねぇ。」

他人事のように返事をすると、空は呆れたように私を見る。


「まだ、晃のこと引きずってんの?」


私は何も答えなかった。

答えも見付からないし、答える気もなかった。
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