朧月
―巡り逢い―
鳴り響く電子音が耳障りで、手探りで目覚まし時計を止めた。
それからの意識はしばらくなくて、今度は携帯電話の振動で目が覚める。
電話の相手を確認せずに通話ボタンを押す。
「…はい。」
「お前どこにいんの?」
1度受話器を耳から話して画面を見ると、電話の相手は陸だった。
受話器の向こう側は随分と騒がしかったことから、陸は外にいると判断した。
「…家だけど。」
「お前まさか寝てたな!?」
我に返って、よく考える。
今日は大学の入学式だ。