朧月


「大学はな、高校の何倍も人がいんだよ。簡単には見付けらんないぞ。」


「…いや、そこはなんとかして。」



僕はコーヒーを入れると、陸も座るように促す。


「どんな子?」


特に興味はないけど一応聞いてみる。


「とりあえず、可愛い。」


陸は満足気に答えて僕のコーヒーを飲んだ。


「お前は可愛ければ誰でもいいんだな。」


皮肉な僕の言葉に、陸は顔をしかめてタバコに火をつける。


「それはお前だろ。」
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