朧月
玄関を開けると、確かに今朝の男の人がいた。
目が大きくて可愛らしい顔付きの人。
髪の毛は金に近い茶色で、長めの髪はペタンと寝ている。
「どんくさちゃん。」
「は?」
「いえ、こっちの話。何か用事ですか?」
私は元から少し掠れた声を更に低くして話をするよう促す。
「…あ。えーと。とりあえず、名前聞いても良いですか?」
「麗です。日之内麗。」
私はゆっくりと答えると、彼もまたゆっくりと話し出す。