朧月


「僕も寂しいよ。」


触るだけのキスをすると、僕は床に散らばった服を着て
お金を乱暴にポケットにしまう。

「じゃあね。」

ミカは寂しそうに僕を見つめる。

僕もそれに合わせて悲しい顔をする。

彼女の部屋を出るときには、僕の頭の中は金の使い道でいっぱいだった。

どんなに良い服や靴を履いても

僕の心は満たされないのだけれど。
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