朧月

あのときは、ものすごい勢いで家を飛び出したくせに

"忘れてるかも"だとか
"しつこいと思われる"だとか
言い訳を並べては行動に移さないでいた。

何も考えないですぐに行動する人間は、たまに考えてしまうとこうも動けなくなるらしい。


「壱、一緒に行こう。」

「なんで俺が。」

「俺が毎日居ると邪魔なんだろ。早く空ちゃんと上手くいけば、もうここには来ないよ。」


陸はふてくされたように窓から彼女の部屋を見る。


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