朧月

「誰が行くか。」

窓際に立つ陸の背中を軽く蹴ると、陸は大袈裟な反応をして少し照れ臭そうに頭をかいた。


「…やっぱり行ってみようかな。」


「おー、行ってこい。」


僕の言葉に、陸は満面の笑みで部屋を飛び出して行った。

何で急にそうなったのかは知らないけど、
何も考えずにへらへらしている陸が、
恋ばっかりしている陸が、
幸せそうな笑みを浮かべる陸が、


心の底から羨ましいと、そう思った。
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