朧月
窓を開けてベランダに出ると、彼女の部屋を探してみた。
そういえば陸から話は聞いたけれど、どのマンションかもどの部屋かも僕は知らなかったんだ。
見つかるはずもないものを、僕は辺りのマンションの部屋のひとつひとつを眺めていた。
しばらくして、バタバタという音と共に陸が部屋に入ってくる。
「どうだった?」
僕は陸に背中を向けたまま問いかける。
「次の日曜、飲みに行く!」
意外に早い展開に、僕は思わず振り向いた。
「良かったな。」
そう言うと陸はニヤリと笑う。
「俺と、空ちゃんと、麗ちゃんと、壱だよ。」