朧月
マンションを出て、サイレントにしてあった携帯を取り出すと
"不在着信 10件"
溜め息をつきながら1つずつ履歴を確認し、その中から適当な名前に電話をかけ直す。
「もしもし。」
ワンコ-ルで電話が繋がることに、なんとなく身震いがした。
「エリちゃん、今から会える?」
「うん、いいよ。今どこ?迎えに行こうか?」
「今、駅前にいるよ。」
「30分くらいで着くから。」
まだ駅前に居ない僕はタバコに火をつけて、駅に向かって歩き出す。