朧月
"晃"とは中学に入ってすぐに付き合った。
それから高校2年までだから、4年以上の付き合いだった。
晃は、幼い頃に両親を事故で亡くして親戚の家を渡り歩いていたけど、中学に入ると同時に施設に入った。
「親戚の家は全部居心地が悪かった。」
無理に笑いながら彼がそう話したことをよく覚えている。
晃が荒れるのには時間はかからなかった。
先輩とつるんで晃は毎晩毎晩遊んでいた。
高校に入ってもそれは変わらなかった。
だけど、私といるときは昔の優しい晃で。
彼の大きな手が好きだった。
彼の笑顔が好きだった。
彼の照れると鼻を触る癖が好きだった。
大好きだった彼は、高校2年の秋
突然姿を消した。