朧月

―麗―




「ごめん、別れて。」






私、また振られました。

別に好きじゃないから良いけど。



「うん、いいよ。」


風になびく栗色の髪が鬱陶しくて彼に背を向けた。


「やっぱ、お前よく分かんないな。」


捨て台詞を吐くと男は消えていった。


"よく分かんない"


この言葉を何人の男に言われただろうか。
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