大切な記憶
「あ、あの!!」
声、裏返ってるよ。
しかも足ガクブルになってるよ。
大丈夫かい?
『なに?』
ビビられないようなるべく優しく問う。
「た、た、助けて頂きありがとうございます!!」
ぺこーと頭を深く下げた。
『!!』
正直ビックリした。
お礼を言われるなんて思ってもいなかった。
私にビビって逃げると思ったのに。
今までの経験上そうだった。
『あー、いーよ。お礼なんて。逆にごめんね。目、つけられてたら。』
いらない助けだったかもしれないのに、かってに首つこんでしまったのだから。
「いえ!本当にありがとうございます!では、僕教室に戻ります!!」
ビシッと敬礼をし屋上から去って行った。