halcyon
0が一つも二つも増えたのは、ユイが僕のリストカットを知ってから。


ユイが僕にカラダを求める為のボーダーラインを引いていた様に、僕もリストカットという目に見える傷痕が、ある種のボーダーラインになっていたんだと思う。

「ユイの愛は偽りなの??」

僕の勝ち。


この一言さえ口にしてしまえばユイは何でも買ってくれる。


僕の頭の中は消えない傷痕の償いをさせてやる、という気持ちで一杯だった。



その行為が、また自分の傷を増やしていく事にも気付かずに…
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