halcyon
扉の向こうには見覚えのある人が二人、立っていた。

一人は涙を流していた。



僕は言葉が出なかった―

その二人は…


父親と涙を流す母親の姿だった。


どうして??


その場の空気と共に、僕の頭の中の思考も止まっていた。


お父さんが無言でポケットから一枚のカードを僕に見せる。


僕は慌てて自分の財布の中のカード入れを探る。


無い…


お父さんが持っているのは僕の病院の診察カードだった。
< 107 / 211 >

この作品をシェア

pagetop