halcyon
「ちょっと待って、ソラ君さ今度の日曜日は空いてる??」

僕は耳を疑った。


まずソラ…と呼ばれた事。
そして明らかに日曜日に会おうという誘いのコトバ。

「ぇ…ぃや、先生。空いてる事には空いてますけど…」

「そぅ、じゃあ私と映画でも観に行かない??」

「もちろん私がオゴるわょ??」

まるで決め手のコトバを喋るかの様に先生は続けて話した。


確かに、こずかいも少なかった中学2年生の僕には、決め手のコトバになった。

「でも…良いんですか??その…先生と生徒だし…」

先生は僕に近付いて、そっと口に人差し指を当てて言う。

「他の生徒には言っちゃ絶対にダメょ??バレたら私ココにいれなくなっちゃうかも知れないし。」

僕は分かりましたとばかりに頷いた。
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