halcyon
鹿児島を出る日の朝。



オレンジ色の旅行用ケースを手に家を飛び出す。

「ちょっと!!こんな早くにソラ!!そんな荷物持ってどこに行くの?!」

母親に呼び止められる。


僕が玄関を開けた音で起きたのだろうか??

「少し旅行してくる。」

「旅行って…アンタどこに行くつもりよ??」

「どこかに。」

「ちょっと、いい加減にしなさい!!」

「けじめ…だから。ちゃんと帰ってくるから。」

僕は玄関のガラスを蹴った。

「ガシャンッ!!」

全てが崩れ落ち壊れた音―



今から始まる物語の為に…


今までが崩れ落ちたんだよ。
< 197 / 211 >

この作品をシェア

pagetop