halcyon
駅の西口に向かうと、既に図書室の先生が壁に寄りかかって待っていた。


先生は学校で見るより若さを強調した服を着ていた。

「遅い遅い、男たるものレディーを待たせちゃダメょ。」

なんて笑って言っていた。

「ごめんなさい…先生。」

僕は一応、先生と生徒として謝った。

「冗談だってばソラ君。十分、10分前でも偉いわ。それに、こうして会っているんだから先生なんて呼ばなくて良いわよ。」

「じゃあ何て呼べば…先生。」

「普通にユイって呼べば良いじゃない。私もソラって呼ぶからさ。」

大体こうなる様な気はしていたけれど、いざとなると動揺は隠せなかった。



壁に寄りかかって立っていた先生は、もう先生としてのカタチを失っていた。
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