halcyon
バスから降りようとした時に改めて気付く。



時間が朝早かったせいなのか、常にこんなもんなのかは、知らなかったけれど、乗っていたのは僕を含めて6人しかいなかった。


僕は最後の一人として降りる。


バスの荷物入れから預けておいた、お気に入りのオレンジ色の旅行用ケースを、運転手に取り出して貰い受け取り、僕は運転手に軽く会釈をした。


その会釈の中には、サヤカまでの距離を紡いでくれた感謝の意味も入っていたのかも知れない。


少しでも早くサヤカに…


純粋に、ただただ逢いたい。
そんな気持ちも含まれていたんだと思う。



僕は少し早足で空港の入り口へと向かった。
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