halcyon
僕の価値が一万円札何枚かに変わっていっただけ。


そして心が、すり減っていっただけ。



この頃から僕は左腕に血の涙を流す様になっていた。

無意識の内に自分の汚さを外の世界に流そうとしていたんだと思う。



初めてリストカットした夜。

その日も、いつもと同じ様に心にも無い言葉を吐き、カラダを紙切れに変えた。


ただ、その日は無性に自分の汚さに腹が立って、気が付けば頬に大粒の涙すら流れていて…


その時、僕は自分の部屋に置いてあったカッターが目に入った。



気付いた時には僕の腕は血まみれだった。
< 94 / 211 >

この作品をシェア

pagetop