halcyon
不思議と痛みは感じなかった。

きっと心の傷の方が深かったから…



しばらくして床一面を血の海にした事に、得体の知れない嫌悪感が部屋を包む。



僕は急いで部屋に広がる血を拭き取り、腕にはガーゼを当てて、その上からリストバンドをして傷を隠した。



自分の汚さがカタチになった日だった。


それでも僕はユイとの関係を続けていた。



自分の体に染み付いた汚れは、もう取れないんだ…
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