いつか見つけてね2
「おかえり、美穂。」
お母さんにそう言われると涙が溢れ出した。
「あらあら、美穂ったら。
ごめんね、長い間一人にさせて。」
いつもお母さんが作ってくれてる甘いパイの匂いがした。
お母さんに肩を抱かれてリビングに入るとお父さんがソファーに座ってコーヒーを飲んでいる。
「おかえり、美穂。」
そう言われるとまた涙が溜まる。
「ただいま、お父さん。」
そう言うと私はお父さんの隣に座って腕を組んだ。
「ははは、美穂は相変わらずだな。
アキラさん、いらっしゃい。
わざわざ送ってくれてありがとうございます。」
ペコリ頭を下げたお父さんに
「直接お会いするのは初めてですね。
美穂がこんなにお父さん娘だとは思いませんでした。」
「アハハ、イヤ、本当は史也の方に懐きすぎなんだが、今はいないからだろうな。」
お父さんがそう言うからアキラさんも少し焦ったみたいで
「はい、この子は甘えたですからね。」
なんて私のことを分析されてる。
「甘えたなのは誰かさんに似たからだよね?
お父さん?」
いつもお父さんはお母さんをお互いを必要としているからわざと言ってやった。
するとみんなでどっと笑いがこみ上げた。
「やっと笑ったね、美穂。」
そう言ったアキラさんの言葉に、うんと頷いた。