プラトニック・オーダー
チェックアウトするリエ達をロビーで見送ると、私たちは少し時間が出来てしまった。
保坂くんのご両親が来るのはお昼過ぎ。
私たちは少し、湖畔を散歩することにした。
「あれ乗りたいな」
私が指差すと、保坂くんがにやりと笑う。
アヒルボート。自分で漕いで湖面を進むボートだ。
「いいけど、俺漕がないよ」
「えー、どうしてそんな意地悪言うの」
「薫ちゃんが乗りたいって言ったから薫ちゃんが漕がないと」
「……漕げるもん」
負けず嫌いがこんなところで出てしまった。
漕いだ事がある人ならわかると思うけど、ペダルはかなり重たい。
そして、すごく揺れる。
「……こ、こわい」
漕ぎ出して数分。
既にギブアップ寸前の私の横で、保坂くんはおなかを抱えて笑っていた。
たまに、こういう子供みたいないたずらをしてくる。
「もう帰りたい……」
「はいはい、しょうがないなぁ」
結局最後は保坂くんが漕いで、十分くらいで陸に戻った。
「薫ちゃんは遊覧船がいいね」
子供をあやすような言い方に、私は頬を膨らませて不機嫌ですよ!とアピールしてみせる。
保坂くんはニコニコ笑ったまま、近くの売店でソフトクリームを買ってくれた。
許そう。
湖畔で食べるソフトクリームはおいしい。
いや、大抵何処で食べてもおいしいんだけど、なんだか今日は特別おいしい気がした。
「もう寒くなってきたね」
私が言うと、保坂くんも頷きながら遠くの湖面を進む遊覧船を眺めていた。
「絵になるなぁ」
「やっぱり?俺かっこいいもんなー」
「自分で言ったら台無しだよ」
「あ、やっぱり?」
どうでもいい会話をしながら、また歩き始める。
お昼が近いからか、人影はまばらだ。
暫く二人で歩いていると、保坂くんの携帯が鳴った。
「ん?……もしもし?」
保坂くんが出て、何事か話しているのを聞きつつ。
私は空を見上げた。
真夏と比べると、もう大分空の色が薄くなっている気がする。
本当に、秋はもうすぐそこまできている。
「お待たせ、なんか、親父たちもう着いちゃったんだって」
「そっか、じゃあ戻ろう」
保坂くんのご両親が来るのはお昼過ぎ。
私たちは少し、湖畔を散歩することにした。
「あれ乗りたいな」
私が指差すと、保坂くんがにやりと笑う。
アヒルボート。自分で漕いで湖面を進むボートだ。
「いいけど、俺漕がないよ」
「えー、どうしてそんな意地悪言うの」
「薫ちゃんが乗りたいって言ったから薫ちゃんが漕がないと」
「……漕げるもん」
負けず嫌いがこんなところで出てしまった。
漕いだ事がある人ならわかると思うけど、ペダルはかなり重たい。
そして、すごく揺れる。
「……こ、こわい」
漕ぎ出して数分。
既にギブアップ寸前の私の横で、保坂くんはおなかを抱えて笑っていた。
たまに、こういう子供みたいないたずらをしてくる。
「もう帰りたい……」
「はいはい、しょうがないなぁ」
結局最後は保坂くんが漕いで、十分くらいで陸に戻った。
「薫ちゃんは遊覧船がいいね」
子供をあやすような言い方に、私は頬を膨らませて不機嫌ですよ!とアピールしてみせる。
保坂くんはニコニコ笑ったまま、近くの売店でソフトクリームを買ってくれた。
許そう。
湖畔で食べるソフトクリームはおいしい。
いや、大抵何処で食べてもおいしいんだけど、なんだか今日は特別おいしい気がした。
「もう寒くなってきたね」
私が言うと、保坂くんも頷きながら遠くの湖面を進む遊覧船を眺めていた。
「絵になるなぁ」
「やっぱり?俺かっこいいもんなー」
「自分で言ったら台無しだよ」
「あ、やっぱり?」
どうでもいい会話をしながら、また歩き始める。
お昼が近いからか、人影はまばらだ。
暫く二人で歩いていると、保坂くんの携帯が鳴った。
「ん?……もしもし?」
保坂くんが出て、何事か話しているのを聞きつつ。
私は空を見上げた。
真夏と比べると、もう大分空の色が薄くなっている気がする。
本当に、秋はもうすぐそこまできている。
「お待たせ、なんか、親父たちもう着いちゃったんだって」
「そっか、じゃあ戻ろう」