プラトニック・オーダー



 翌日、私と誠二さん、そして相田さんは誠二さんのカフェの前で落ち合った。
時刻は20時。
両親は心配していたけど、友達と一緒だから、と言って出てきた。

相田さんの車で、勇吾さんとの待ち合わせ場所である中央公園へ向かう。
備え付けられた駐車場には、数台の車が止まっている他は人影もない。

「そろそろですね」

待ち合わせの時間まではもう少しだった。
私たちは公園の入り口にあるベンチに座って、勇吾さんを待った。

 目当ての人物は、あっさりと現れた。
一ヶ月と少し前に会った時とは変わり果て、痩せて髪も真っ黒になっていた。
あんなに生き生きとして輝いていた面影が、今はもうない。

勇吾さんは私の姿を見て少し驚いていた様だけど、相田さんと誠二さんを見て少しだけ卑屈な笑みを浮かべた。

「やっぱり、一緒に来たか」

やっぱり。
その言葉に、私は顔を顰める。
どういう意味?喉元まで出かかった言葉を飲み込んで、私はただ勇吾さんを見つめる。

「久しぶりだな、勇吾」

相田さんが話し始める。

「お前、周とはもう会ったんだろ?」

そうであるという証拠はなかったが、そう尋ねると事前に決めていた。
勇吾さんは狼狽することもなく、ゆっくりと頷く。

「会ったよ。今は一緒に居るんだ」

一緒に居る。
確かにそう言った。何故?疑問符が浮かぶ。

「一緒って、どういうことだよ。お前、親元に戻って家の仕事手伝ってるんじゃなかったの?」

「いや……」

勇吾さんはどんよりとした瞳で首を振る。

「協力してもらおうと思っただけなんだ。だけど、もうそれも必要なくなったけど」

ぽつり、と呟く。
誠二さんが、私を勇吾さんの視線から隠すように立ちはだかった。

「周はどこ?」

誠二さんの厳しい声。
もしかして、という考えが頭を過ぎる。

「周なら、俺の車にいるよ。自由には動けないようにしてあるけど」

世間話でもする様な口調で言う勇吾さんに、私はまたあの夜の恐怖が蘇るのを感じた。

「沙由ちゃんも、周のご両親も心配してる。もう家に帰してやれよ」

誠二さんが言う。
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