ナチュラル
―――ばか!わたしのばか!退いたらハルくんが雑誌に気づいちゃうじゃんか!!
ていうか、いくらハルくんの部屋だからって勝手に引き出し開けちゃダメだろ!
ばかか、ほんとにわたしはばかなのか!?
「あ、うっ、あの、ね!ははは、ハルくんもアレだしね……!だから、えっと………」
何か言い訳をしようと必死で口を回すも、思考回路はショート寸前。
呂律冴えも上手く回らないうえ、ブワっと冷や汗が出て来る。
「………はぁ……」
「っ!!?」
パニックになっているわたしを余所に、ハルくんは雑誌の前で一つ、盛大な溜め息をついた。
その溜め息にさえびっくりしたわたしはもう完全な小動物。
恐る恐る、ハルくんの顔を見る。
「――…す…すみませんでした」
思わず、考える間もなく滑り出した言葉。
ハルくんの表情は、全く顔色は変えずに、とてつもなく憎々しい目で、その雑誌を見下ろしていた。
それはもう、出来れば一生見られたくないような目つきで。
………と、ハルくんは、睨むのを止めて何やらスマホを取り出し、誰かに電話をかけ始めた。
どうやら、電話相手はすぐに出たらしく、ハルくんは低い声で喋り始めた。
「――――…ユウ、お前今度会ったとき覚悟しといてね」