壊れたココロ
受験日当日、少し早めに家を出たあたしは、トモとS高の校門前で待ち合わせをしていた。
「華奈〜、おはよう!」
遠くからあたしを見つけたトモが、大きく手を振りながら小走りで近付いてきた。
「昨日眠れた?
緊張しちゃって、あたしなかなか寝付けなくてさぁ。」
少し興奮気味のトモが息を切らしながら言った。
「意外と落ち着いてるよ。」
受験当日だというのに、あたしは妙に落ち着いていた。
「なにその余裕なかんじ、でもそりゃそうだよね、海斗先輩に勉強教えてもらってたんだもんね。」
トモは未だ海斗に片想い中だが、さっぱりとした性格から、あたしと海斗の事はあの文化祭で納得して以来、あまり気にしていなかった。
トモと合流すると、2人で昇降口に向かい上靴に履き替えた。
「受験生の方はここで受付をして、各教室へ受験番号順に着席して下さい。」
あたしとトモは受付を済ませると、受験番号の教室へと向かった。