壊れたココロ
「なんだよっ。
しょうがないだろ、兄貴は急な仕事が入ったんだから。」
玄関に立っていた彼の名前は大概 海斗、陸さんの弟だった。
「陸さん、仕事入っちゃったんだ…。」
陸さんは性格も真面目なことから、不規則でいつ急な要請が入るかわからない仕事をしている為、自分の都合で急に来れなくなる事に責任を感じ、そういった場合に代わりに弟にお願いするということで家庭教師を引き受けてくれたのだった。
「いいからほらっ、早くやるぞっ。」
重い足取りのあたしの気持ちなど無視し、海斗はスタスタと階段を上がり先に部屋に入った。
「うわぁ…、またすごい部屋になってるなぁ。ピンクって、お前には似合わねーよ。」
「うるさいなぁー、海斗に関係ないでしょっ!」
さっきまで浮かれていた気持ちが空回りし、あたしは海斗に八つ当たりしていた。