壊れたココロ
「兄貴からここまで出来てるって聞いたけど、ちょっと遅いからペースあげて今日はここまでやるからな。」
「はーい…。」
まだ気持ちを切り替えることができず、ふてぶてしく参考書を開くあたしにもおかまいなしで、海斗は淡々としていた。
実際家庭教師となると、陸さんと勉強するより、海斗とやった方が余計な邪念が入らず勉強に集中できた。
海斗はあたしの志望校であるS高校の2年生。
陸さんもS高は母校であるが、海斗は年が近い分、受験の傾向などもよくわかり有力な情報網となっている。
見た目とは違い、陸さんの弟というだけあって成績優秀なので、受験生のあたしには今のところ頼りになっている存在である。