壊れたココロ
片想い
見飽きた数字、へんな記号にアルファベット、分厚い参考書にひたすら向かう毎日。
ただひたすら机に向かう、なんの楽しみも希望もないこの時間だが、唯一この飽き飽きとした空間を一変し、解放してくれる時間があたしにはあった。
ピンポーン。
家のインターフォンが鳴ると同時に部屋を飛び出し、階段をかけ下りた。
「いらっしゃい。」
弾む息をこらえドアをあけると、そこには笑顔の青年が立っている。
「こんにちは、華奈ちゃん。」
甘いマスクに見あった優しい声で微笑む彼に、一瞬で地獄から解放される。
大概 陸さん。
彼は受験までの間、あたしの家庭教師をしてくれている。