壊れたココロ


あの海斗が女の子達に騒がれてるなんて…。


その光景を目の前にしても信じられなかった。


だって、あたしの知ってる海斗はどっちかっていうと愛想は悪いし、口だって悪いしで、女の子に騒がれるような存在には思えなかった。


あたしはそんなことを考えながら無意識に海斗を目で追っていた。


その時、ふと海斗の視線がこっちに向き、目があってしまった。


海斗は一瞬、あたしに気がついたのかハッとした表情を見せたかのように思えたが、すぐに視線をそらした。


あれっ?
今、気付いたように見えたけど…気のせいだった。


「きゃーっ、今こっち見たよねっ!」


同じく海斗をずっと見ていたトモが突然声をあげた。


やっぱり見たよな…。
でもこんなに離れてるんだから多分あたしだとは気付かなかったんだ。


その後しばらく見ていたが、あの一瞬以来海斗はこっちを見ることはなかった。


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